日産の3代目T32型「エクストレイル」はアラウンドビューモニターや条件付き自動運転プロパイロットなど最新デバイスを装備した人気のSUV車種で、ハイブリッドモデルではJC08モードのカタログ燃費20.8km/lを達成するなど経済性も高い1台。
これといった欠点のないエクストレイルですが、更なる進化で日産が誇る最新のハイブリッド技術「e-POWER」モデルが追加されるようです。
コンパクトハッチバックのノート、ファミリーカー・ミニバンとして人気の高いセレナに次ぐエクストレイルe-POWERについての情報をまとめ!
そして2020年と予想されるフルモデルチェンジ情報についても紹介していきます!
目次
日産新型エクストレイルe-POWER、PHEVなど最新情報
e-POWERとは
日産独自のハイブリッド技術であるe-POWERですが詳しくは知らない方が多いと思います。
既にガソリンエンジンとモーターを積んだハイブリッドモデルはエクストレイルでもラインナップがありますし珍しいものではありません。
では、なぜe-POWERというハイブリッド技術が注目されているかというと、今までとエンジンとモーターの使い方が違うからです。
トヨタやホンダ、日産も含めた従来型のハイブリッドではエンジンとモーターの2つの力によりタイヤにエネルギーを与えて走行をしていましたが、e-POWERではモーターの力のみでタイヤを動かします。
エンジンはどうやって使うかというとバッテリーを充電するためだけに使用されます。
モーターの力を直接タイヤに伝えることでエネルギー損失が無くなり、効率よく車を走らせることができ高燃費に繋がります。
エンジンの力をタイヤに伝えるためにはトランスミッションなど様々な部品が必要となりエネルギー効率が悪いのです。
なのでe-POWERではトランスミッションは装備されておらずトルクコンバーター式ATでもエクストロニックCVTでもマニュアルトランスミッションでもありません。
現行エクストレイルハイブリッドのシステムはインテリジェント デュアル クラッチ コントロールという1つのモーターに対して2つのクラッチを使用しており、エネルギー効率は決して悪くはないのですがe-POWERよりも動力伝達のために必要なパーツは多いです。
クラッチとトランスミッションであるCVTを経由することで、どうしてもエネルギー損失が生まれますからね。
現在のe-POWERの駆動方式としては前輪のみにモーター出力が加わるためFF(前輪駆動)となります。
ノート、セレナともに4WDはラインナップされていないので、エクストレイルに関しても発売当初はFFのみの可能性が高いでしょう。
e-POWERでも後輪用のモーターを付けることで4WDにすることは可能なので、将来的には4WDモデルも追加されると予想されます。
SUVであるエクストレイルとしては揃えておきたい駆動方式ですからね。
エクステリア
エクステリアでは以下の違いがあります。
- e-POWER専用エンブレム
- フロントグリルに青の差し色
セレナでは専用のLEDテールランプが採用されましたが、見た目上では大きな変化はありません。
フロントグリルの青色とボディサイド、リアゲートの専用エンブレムがe-POWERの証。
エクストレイルに関してもほぼ見た目上では変わらないでしょう。
インテリア
インテリアに関してはメーターディスプレイやシフトセレクトレバー(シフトノブ)がe-POWER仕様となります。
- e-POWERモードスイッチ・インジケーター
- ファインビジョンメーター
- 専用シフトノブ
ノートe-POWERのセレクトレバー
メーターディスプレイはe-POWER専用となり様々な情報を確認することが可能。
- スピードメーター(速度計)
- 燃料計
- パワーメーター
- オドメーター(積算距離計)/トリップメーター(区間距離計)
- ポジションインジケーター
- Sモードインジケーター
- ECOモードインジケーター
- エネルギーフローメーター
- ネオンライン
- 時計
- メンテナンス設定
今までのATセレクターと違うシフトセレクターの使い方を解説した動画です。
セレナとノートではデザインが違いますが使い方は同じ。
セレナのインフォメーションディスプレイとデジタル式スピードメーター
エクストレイルでも基本的なデザインは変わりませんがATセレクターがe-POWER仕様へ変更されます。
エンジンスペック
エクストレイル e-POWERのパワートレインはセレナと同じと考えられます。
エンジンは1.2LとSUVにしては非力な印象を受けますが、あくまでもバッテリー充電用のため直接的には関与しません。
エンジン
- エンジン:直列3気筒・HR12DE
- 総排気量:1198cc
- 最高出力:62kW(84PS)/6,000rpm
- 最大トルク:103Nm(10.5kgm)/3,200-5,200rpm
モーター
- モーター:EM57
- 最高出力:100kW(136PS)
- 最大トルク:320Nm(32.6kgm)
現在、販売されているハイブリッドのスペックはこちら。
エンジン
- エンジン:直列4気筒・MR20DD
- 総排気量:1997cc
- 最高出力:147ps(108kW)/6000rpm
- 最大トルク:21.1kg・m(207N・m)/4400rpm
モーター
- モーター:RM31
- 最高出力:30kW(41ps)
- 最大トルク:169Nm(16.3kgm)
燃費は30km/l
e-POWERになった場合、燃費はどのぐらい良くなるのでしょうか?
参考までにノートとセレナで違いを紹介します。
ノート(1.2L+スーパーチャージャー→e-POWER)
- 車両重量:1090kg→1170kg
- 燃費:26.2km/l→37.2km/l
セレナ(2.0L+モーターのマイルドハイブリッド→e-POWER)
- 車両重量:1650kg→1730kg
- 燃費:17.2km/l→26.2km/l
車両重量はともに+80kgですが燃費はノートで+11km/l、セレナで+9km/lも良くなっています。
ただエクストレイルはセレナの簡易的なハイブリッドではなく、車両後部に大型のリチウムイオンバッテリーを配置した本格的なハイブリッド車であるため、燃費向上率としては低くなることが予想されますが、車両重量に関してはノートやセレナと違いハイブリッドからe-POWERになるので+80kgも重くなることはありません。
トータルで考えるとエクストレイルでも+9km/l程度の燃費向上は望めるのではないでしょうか?
セレナよりも車両重量は軽いので同じパワートレイン、e-POWERの場合はカタログ燃費で30.0km/l以上になる可能性も十分にあります。
エクストレイル(2.0L+モーターのハイブリッド→e-POWER)の予想燃費
- 車両重量:1570kg→約1600kg
- 燃費:20.8km/l→約29.2km/l
ワンペダルドライブ
e-POWERになることで変わるのは燃費だけではありません。
モーター駆動の特性によりアクセルペダルの操作だけで加速はもちろん、減速もできるワンペダルドライブが可能になります。
今までのガソリンエンジン車でもアクセルを離すことで掛かる減速力をエンジンブレーキと呼んでいましたが、自由にギアを変えられるMT車以外のATやCVTでは使うのが面倒ですし、ブレーキの力はどうしても必要です。
ただe-POWERでは日産がワンペダルドライブとして売り出しているように、交差点での右左折時はもちろんのこと停止までアクセルペダルの操作のみで行えます。
減速エネルギーを使ってバッテリーへの充電もできるので、e-POWER車に乗り換えたらぜひ使いこなしてください。
走行モードは今までのアクセル、ブレーキ操作に近い運転ができる「ノーマルモード」、そしてe-POWERの特性を活かしたワンペダルドライブができるモード「e-POWER Drive」の2つがあります。
その他、e-POWER Driveの中にはチャージモードとマナーモードがあります。
チャージモードは可能な限りバッテリー充電ができるような走行ができ、マナーモードではエンジンを動かさずバッテリー+モーターのみで走行可能。
深夜帯や早朝などご近所に迷惑を掛けたくないときはマナーモードで走行するなど状況に応じて最低なモードを選べます。
試乗するのがおすすめ
e-POWER車のワンペダルドライブは実際に体感することをおすすめします。
ディーラーでノートもしくはセレナを試乗してドライビングフィールや加速力等を確かめましょう。
ボディサイズ
大きさはe-POWERになっても変わりはありませんし、室内空間についても狭くなることはありません。
- 全長×車幅×車高:4690×1820×1740mm
- ホイールベース:2705mm
- 乗車定員:5名
CMFプラットフォーム
3代目エクストレイルのプラットフォームはCMF(コモン・モジュール・ファミリー)と呼ばれる日産とルノーが共同開発した最新型。
日本で発売されている車種に限るとエクストレイルの他にはルノーのメガーヌなどごくわずかですが、海外展開しているローグやキャシュカイ、ルノーではエスパスやカジャー、コレオスに使われています。
CMF車種としてe-POWERは初となります。
自動運転のプロパイロット
エクストレイルではセレナに続いて追従式クルーズコントロール、条件付自動運転の「プロパイロット1.0」を採用しています。
ファミリーでの遠出や旅行など高速道路を長い時間運転するときには欲しい装備ですし、e-POWERでも人気装備になるのは間違いありません。
プロパイロット1.0では以下の検知システムを装備。
- 12個のソナー&カメラ
- 9個のミリ波レーダー
- 6個のレーザースキャナ
- 高精度マップ
主な機能や特徴
- 高速道路など同一車線での自動走行に対応
- 前方車両との距離を把握しての速度調整や自動ブレーキ
- カーブでのステアリング制御
- 車両割込みにも対応
日産プロパイロットの自動運転レベルは2です。
高速やバイパス道路など一定の状況下において車の縦及び横方向を自動制御に任せることができますが、ドライバーは常にハンドルを持って運転を再開できる準備をしておく必要があります。
ハンドルを離して良いとされるのはレベル3から!
レベル3では自動運転不可になる前にドライバーへ注意、警告を促す機能が付いていますが、プロパイロットは基本的にドライバーが運転をするのであって、完全な自動運転ではありませんからね。
レベル3は2018年に日本でも正規販売が開始されるアウディA8に装備されています。
「Audi AI トラフィックジャムパイロット」というシステムによりレベル3の条件を満たすことに成功しました。
プロパイロットパーキングの採用
2017年10月2日に発売の2代目新型リーフから採用された「プロパイロットパーキング」ですが、2018年3月1日に発売されたセレナe-POWERでは付きませんでした。
エクストレイルがプロパイロットパーキング第2弾となることを期待しましょう。
今までも自動駐車システムはありましたがプロパイロットパーキングは4つの高解像度カメラ+12のソナーにより、車両周囲の障害物状況を把握。
アクセル、ブレーキ、ステアリング操作は車任せでOK。
後向き駐車、前向き駐車、縦列駐車のいずれにも対応しており、駐車完了後は自動的にパーキングブレーキが掛かりシフトもPレンジに入ります。
安全装備も充実
エクストレイルはプロパイロットの他にも日産最新の安全装備が充実しています。
インテリジェントアラウンドビューモニター
CMでもお馴染みの上空から見ているような映像を映し出せるアラウンドビューモニターは駐車時に大活躍する技術。
ボディサイズが大きいSUVのエクストレイルではありがたい装備。
画面表示だけではなく検知システムにより障害物などが近いときにはブザー警告でお知らせしてくれます。
インテリジェントルームミラー
後部座席に人や荷物を載せているとルームミラーでは後方確認が難しい状況がありますね。
そこで開発されたのがインテリジェントルームミラーで車体後方に搭載されたカメラ映像をルームミラーに移すことで、車内の余計な情報を排除することに成功。
スイッチのON・OFFでミラー映像・カメラ映像を簡単に切り替えることもできます。
シーケンシャルウインカー
アウディやレクサス、トヨタで採用車種が増えているシーケンシャルウインカー、流れるウインカーですが日産ではまだオプションでも採用されていません。
もしかしたらエクストレイル e-POWERで使われるかもしれません!?
近年、人気の装備のため日産も近いうちにシーケンシャルウインカーを用意してきそうですが果たしてどうなるでしょうか。
動画は社外品の流れるウインカー。
16秒あたりから実際に流れる様子を見ることができます。
オーテックやニスモ
セレナe-POWERは発売と同時に日産の子会社であるオーテックが手掛けたオーテックモデルがラインナップされました。
エクストレイルでもオーテックが手掛けた「モードプレミア」、「エクストリーマーX」が売れ筋となっているため、こちらも発売と同時に用意される可能性は高いでしょう。
ニスモはノートと同じく発売後の登場になりそうです。
価格差は350万程度か
e-POWERになると他のパワートレインよりも価格は高くなり、ノートで+20万、セレナでは+50万円です。
エクストレイルは既にハイブリッドシステムを積んでいるので価格差としては+30~50万円と予想されます。
3代目エクストレイルの希望小売価格(全てFF駆動)
- 20Xi:2,803,680円
- 20Xi ハイブリッド:3,071,520円
- モードプレミア:3,093,120円
20Xiでは300万円程度、人気グレードのモードプレミアになると350万程度になりそうです。
e-POWERは2.0Lではなく1.2Lエンジンなので自動車税が39,500円から34,500円と安くなり、燃費も良くなるので乗る年数にもよりますがコストパフォーマンスは高くなるでしょう。
ワンペダルドライブならブレーキパッドの消耗も少ないですし、さらに経済的に乗ることができます。
2020年、4代目へのフルモデルチェンジ情報
エクストレイルのフルモデルチェンジは早くても2019年、現実的には2020年以降と言われていますが、参考になるコンセプトカーの情報をまとめました。
Xmotion(クロスモーション)
2018年1月にアメリカのデトロイトで開催されたモーターショー内で発表されたのが、3列シートで7人乗りのSUV「Xmotiron」
ブーメラン型のヘッドランプは鍛造された鋼の剣をイメージ。
ハイビーム、ロービーム、シーケンシャルランプ、ポジションランプなどすべてのライト類を1つのユニット内に配置した次世代型ヘッドランプ。
クロスモーションは日産の将来的なSUV像を具現化したコンセプトカー。
既に実車も公開されています。
3列シートのSUVなので、かなり大きさは感じます。
インテリアで特徴的なのは室内前方から後方に向けて伸びるナチュラルウッドのセンターコンソール。
車内を川だとするとセンターコンソールのウッドは架け橋をイメージしており、それぞれ独立したセパレートシートは船だそうです。
白と赤をベースにしているのも日本の象徴である日の丸からインスパイアされています。
後部座席のドアは観音開き。
そして後部座席に位置する謎のオブジェ。
クロスモーションは日本伝統の技術を大切にした近未来SUV
クロスモーションの発表動画はこちら。
IMx
東京モーターショー2017で公開されたコンセプトSUVのIMxは高出力モーターを前後に積んだ4WDの100%電気自動車。
320kW、700Nmのパワーを持っており、最大航続可能距離は600km以上。
日産の電気自動車、SUVの未来を表現した車種。
クロスモーションと同じく観音開きドア。
IMxのボディサイズは現行のエクストレイルとほぼ同じであり、4代目のベースとなる可能性も十分に考えられます。
全長×車幅×車高
- IMx:4700×1880×1620mm
- エクストレイル:4690×1820×1740mm
PHEV(プラグインハイブリッド)
次期エクストレイルではPHEVが用意されると言われていますが、日産独自のe-POWERがあるため可能性としては50%程度です。
e-POWERでバッテリーを充電するためにはエンジンの力が必要で、PHEVや電気自動車のように充電ポートは付いていません。
今後、e-POWERでも充電ポートを追加したモデルが出るかもしれませんね。
三菱製のシステムを採用
PHEVモデルが登場する際には傘下となった三菱製のシステムを採用します。
2013年から発売されているアウトランダーPHEVはフルタイム4WDでありながらJC08モードで19.2km/lと高燃費ですが、e-POWERも燃費性能ではPHEVと同等であることから比較検討された上で最適なシステムが選ばれます。
発売は2020年か
エクストレイルは2000年11月に初代モデルが発売開始してから約3~4年のスパンでマイナーチェンジもしくはフルモデルチェンジを行っています。
- 2000年11月:初代モデル発売
- 2003年06月:後期型にマイナーチェンジ
- 2007年08月:2代目にフルモデルチェンジ
- 2010年07月:後期型にマイナーチェンジ
- 2013年12月:3代目にフルモデルチェンジ
- 2017年06月:後期型にマイナーチェンジ
フルモデルチェンジは6~7年のスパンですし、2020年には大きな動きがあることが濃厚。
クロスモーションやIMxをベースに4代目エクストレイルとして生まれ変わるかもしれませんね。
公式発表はまだ先と予想されますが新たなコンセプトモデルなど追加情報が分かり次第、更新を行っていきます!
日産の値引き方法については別記事にまとめたので宜しければご覧くださいm(_ _)m