現在、日本で売られている車の燃費はJC08モードという測定方法の結果をカタログ値として掲載していますが、2018年10月からはJC08モードからWLTCモードという新しい測定方法へと切り替えられます。
かつては10・15モードという測定方法でしたが実走行とかけ離れた数値だという意見が多く、よりリアルに近いJC08モードへと切り替えられた経緯がありましたが、今回はの変更は少し意味合いが異なっています。
JC08モードも参考程度の数値で実際とは掛け離れているのですが、、、WLTCに代わる大きな理由ではありません。
そこで今回は新しい燃費測定方法であるWLTCに変わる目的や、測定方法などについてまとめていきます!
※最新情報追記:マツダCX-3で日本国内では初めてメーカーからWLTCモードの燃費が発表されました。
⇒2019年10月1日からの自動車取得税廃止による環境性能割とは?
目次
WLTC(WLTP)モードとは?
意味・直訳してみよう
WLTCモードというのを直訳するとワールドワイドハーモナイズドライトデューティーテストサイクル(Worldwide harmonized Light duty Test Cycle)という名称になります。
またWLTCの後に括弧書きでWLTPと書いたのはWLTPという世界基準の燃費測定方法があって、日本へ導入される際にはWLTCとなるからです。
少しややこしいですが、、、WLTC=WLTPと考えていただいても大丈夫です。
今回は2018年10月から採用される正式名称である「WLTC」として解説をしていきます。
- Worldwide harmonized Light dutydriving Test Procedure
- ワールドワイドハーモナイズドライトデューティートライビングテストプロシィージャ
全世界共通のモードへ
自動車業界(日本、アメリカ、ヨーロッパなど主要な自動車生産国)は地球環境問題等を踏まえて全世界共通の燃費測定方法を採用することによりデータベース化、排出ガスによる大気汚染を改善しようという流れがあります。
WLTCはワールドワイドという言葉が使われていることから分かるように、全世界共通という意味も含まれています。
重量車を除くガソリン・LPG 自動車及びディーゼル自動車については、UN-ECE/WP29において、世界統一試験サイクルWLTC(Worldwide harmonized Light duty drivingTest Cycle)を含む世界統一試験方法WLTP(Worldwide harmonized Light duty drivingTest Procedure)の検討が我が国も参画して進められている。
その活動に積極的に貢献するとともに、今後その進捗状況を踏まえ、現行試験サイクル(JC08 モード)を見直し、WLTCを導入することについて検討する。
また、今後、大気汚染状況、排出ガス寄与度、技術開発動向等を踏まえ、低燃費技術と排出ガス低減技術との両立に配慮した上で、必要に応じ新たな排出ガス許容限度目標値の設定について検討する。
出典:https://www.env.go.jp/
測定方法の数値
WLTC、JC08、10・15の3つのモードの測定方法に関する車両情報の数値は以下のようになります。
WLTC | JC08 | 10・15 | |
平均速度[km/h] | 36.57 | 24.4 | 22.7 |
最高速度[km/h] | 97.4 | 81.6 | 70 |
運転時間[s] | 1477 24分37秒 |
1204 20分04秒 |
660 11分 |
走行距離[km] | 15.01 | 8.172 | 4.165 |
平均速度が上がっている理由としてはアイドリングストップの時間が短くなったからです。
JC08モードではこのアイドリングストップをしている時間の割合が長かったため測定結果も高くなりがちでしたが、WLTCではより実際の停止時間に近づけています。
最高速度も81.6km/hから97.4km/hとかなり上がっていますが、これで結果が悪くなると言われているのが軽自動車ですね。
最近の軽は徹底的な軽量化に加え660cc+ターボが付いているので、高速道路であっても走りという意味では安全を心がけていれば安心して乗れるようになっていますが、やはり燃費という意味では軽の非力なエンジンにとって97.4kmというのは不利かもしれません。
とくにNAでターボ無しだと100km/hであればエンジンの回転数が3000~4000程度ということもあって、燃費に良いとは言えませんからね。
まあ97.4km/hで走る時間は短いので、はっきりと目に見えて落ちることはないと思いますが。
運転時間は24分と短すぎず長すぎの絶妙な時間ですね(笑)30分を超えると長いし20分では短く感じますしね。
エアコンの使用は考慮されない
JC08モードを測定するときにはエアコンは使用されないほか、カーナビ・カーオーディオ・ヘッドライト・フォグランプなどなど走行に必要な電気系統以外は全てOFFの状態です。
これが実際の走行と大きな差を生んでいる原因の1つなのですが、WLTCモードでもエアコン・電装品などの使用は考慮されないもようです(x_x;)
ただ燃費に大きな影響を与えるのは明らかなことなので、電装品の使用も考慮するかどうかも含めて現在検討中という情報があります。
実際問題、四季の温度差が大きい日本では春夏秋冬でもちろん使用頻度や温度・風量設定も変わってきますし、マニュアルorオートエアコンなど装備にとっても変わってくるので難しいようですが、、、
余談ですが日本では外車が壊れやすいですが、理由の1つとして高温多湿な日本の気候が挙げられます。
詳しくは以下の記事にまとめてありますので宜しければご覧下さいmm
市街地、郊外、高速道路の3パターン
WLTCでは走行状況に応じた3パターンを表示するようにります。
今までは燃費消費率(国土交通省審査値)JC08モード=〇〇.〇km/Lという表記でしたが、新しく市街地・郊外・高速道路の3パターンも追加!
- WLTCモード=市街地、郊外、高速道路の各走行モードを平均的な使用時間配分で構成した国際的な走行モード
- 市街地モード=信号や渋滞等の影響を受ける比較的低速な走行を想定
- 郊外モード=信号や渋滞等の影響をあまり受けない走行を想定
- 高速道路モード=高速道路等での走行を想定
- 燃費消費率=〇〇.〇km/L
- 市街地モード=△△.△km/L
- 郊外モード=□□.□km/L
- 高速道路モード=▽▽.▽km/L
※最新情報追記:マツダCX-3で日本国内では初めてメーカーからWLTCモードの燃費が発表されました!詳細はココから!
出典:http://www.meti.go.jp/
カタログ値は下がるが実燃費に近くなる
WLTCでの測定結果はJC08モードと同等もしくは低くなる傾向があります。
測定時のアイドリングストップの時間が短くなったというのが大きな理由ですね。
トヨタのプリウス(Eグレード)は40.8km/Lという驚異的なカタログ値を誇っていますが、WLTC導入で40という大台を切ってしまう可能性もあり注目が集まっています。
エコカー減税や環境性能割にも影響が?
燃費表示方法が変わるということで燃費基準の達成度で税率が変わってくるエコカー減税や環境性能割などにも影響がある可能性があります。
WLTC導入後にはエコカー減税を受けられなくなったり、環境性能割の税率が高くなってしまうかもしれませんので、導入される2018年10月あたりに車を買い替えようと思っている方は、対象車種とWLTC・各種減税措置の関係について早くからチェックをしておいてください!
RDE導入は?
その他、最新の燃費測定としてはRDE(Real Driving Emissions):実路走行排気という実際の公道で測る方法もあります。
フランスのPSAグループ(プジョー・シトロエン)ではRDEを一部車種で公開していますね。
2018年10月から変わる!
WLTCが導入されるのは2018年10月ですが、適用までに知っておきたいことのまとめです。
- 導入後にカタログ値が変わる車種も出てくる
- エコカー減税にも影響があるかも
- 環境性能割(2019年10月~)にも影響か
WLTCになったからといって実際の車の燃費が変わる訳ではありませんが、買い替えを検討している人にとっては金銭的な問題は出てくるかもしれませんね。
今後、テレビのニュースなどでも取り上げられる機会が増えると思いますので情報を随時チェックしていきましょう!
マツダ・CX-3で初採用!
マツダのCX-3が早くもWLTCモードの認可を受けて各数値が発表されました。
ガソリンエンジンのSKYACTIV-G 2.0というグレード限定ですが、正式に自動車メーカーから表記されたのは初となります。
そして気になる数値は以下のようになりました。
SKYACTIV-G 2.0(2WD)
- JC08モード:16.0km/L
- 市街地モード:12.2km/L
- 郊外モード:16.8km/L
- 高速道路モード:18.0km/L
SKYACTIV-G 2.0(4WD)
- JC08モード:15.2km/L
- 市街地モード:11.6km/L
- 郊外モード:15.8km/L
- 高速道路モード:17.4km/L
市街地モードではJC08モードの70%程度の数値になりましたが、郊外・高速道路では良くなっています。
実燃費としては市街地モードが最も近いのではないでしょうか?
まだガソリン車のみですが市街地モードはより実際の使用に近い数値を出してくれそうですね。
ハイブリッドやディーゼルも公表され次第、追記していきます!